マンションの防水工事は、建物を長期間守るために欠かせない重要な工事です。
しかし、施工時に小さなミスや確認不足があると、雨漏りや建物の劣化といった深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。実際に、防水工事が原因で多額の修繕費用がかかってしまった事例や、管理組合と施工業者の間でトラブルが発生した事例も少なくありません。
防水工事に失敗しないためには、よくある失敗例やその原因を理解し、事前に対策を講じることが大切です。
この記事では、過去の失敗事例を詳しく紹介しながら、防水工事で失敗しないための対策をわかりやすく解説します。
防水工事の失敗例とその原因
防水工事は、正しい手順と適切な施工が求められる非常に繊細な作業です。しかし、その工程の一つでも手を抜いたり確認を怠ったりすると、建物を守るはずの防水層が逆にトラブルの原因になることがあります。
ここでは、防水工事でよくある失敗例とその原因について詳しく解説します。
防水層の状態を調査せずに施工した
防水工事においては、施工前に必ず既存の防水層や下地の状態を調査することが重要です。
しかし、既存の防水層に膨れやひび割れがある状態のまま施工すると、新しい防水層が適切に密着せず、施工後に浮きや剥がれが発生しやすくなります。さらに、既存の下地に劣化が進んでいる場合、表面的にはきれいに見えても、内部では水分が侵入し続けている可能性もあります。その結果、わずかな隙間から漏水が発生し、防水工事の効果が全く得られなくなることもあります。
劣化が進んでいる場合は古い防水層を撤去し、下地の補修を徹底してから施工を行うことで、長期間にわたり防水機能を維持できます。
下地処理を怠った施工
防水層を施工する前には下地処理を適切に行うことで、防水層が長持ちし、施工後のトラブルを防げます。
しかし、施工前に下地の汚れを完全に取り除かなかったり、十分に乾燥させずに作業を進めたりすると、施工後にさまざまな問題が発生します。たとえば、ホコリや油分が残った状態で防水材を塗布すると、防水層がしっかり密着せず、浮きや剥がれの原因になります。また、湿気が下地に残っている場合には、後から膨れが生じやすくなり、せっかくの防水工事が無駄になることもあります。
このようなトラブルを回避するためには、施工前に高圧洗浄機を使用して下地の汚れを完全に除去し、その後しっかりと乾燥時間を確保することが必要です。
雨漏りしている状態でウレタン防水(密着工法)を選択
ウレタン防水(密着工法)は、柔軟性が高く多くの防水工事で採用されている工法です。雨漏りが発生している場合には、まず原因箇所を特定し、水分をしっかり除去してから施工を進めることが大切です。
雨漏りの原因箇所が特定されないまま施工を行うと、防水層と下地の間に水分が残り、工事が終わった直後でも防水層が浮いてしまうことがあります。その結果、再度の工事が必要となり、時間や費用の無駄が生じてしまうのです。
状況によっては、ウレタン密着工法ではなく、絶縁工法など適切な防水工法を選ぶ判断も必要です。
防水シート施工前の高圧洗浄不足と下地汚れの影響
防水シート工法では、下地がきれいであることが密着性を保つための絶対条件です。しかし、高圧洗浄が不十分だと、下地にホコリや汚れが残ってしまい、防水シートがしっかりと接着せずに施工後すぐに浮き上がるケースがあります。
たとえば、洗浄が不完全なまま施工された防水シートでは、表面の一部が剥がれてしまうことがあり、そのわずかな隙間から雨水が侵入することがあります。このような状態では、施工後数年以内に再度の工事が必要となるため、工事の意味がなくなってしまいます。
また、施工後には防水シートの圧着を確認し、隙間や浮きがないか丁寧にチェックすることで、施工の品質を高めることができます。
施工不良
防水工事で意外に多い失敗が、防水層の厚み不足や接合部の処理不足といった施工不良です。
防水材は、基準の厚みを確保することで初めて防水性能を発揮します。しかし、手間を省くために薄く塗られたり、接合部の処理が甘かったりすると、数年でひび割れや剥がれが発生し、漏水の原因となります。
また、塗膜防水では、乾燥時間が不十分なまま次の工程を進めることで、施工後に剥がれや密着不良が起こることがあります。こうした問題は、施工後の見た目だけでは気づきにくいため、時間が経ってから初めてトラブルとして発覚するケースがほとんどです。
防水工事の品質を確保するためには、施工基準に従って防水層の厚みや乾燥時間を守ることが絶対条件です。施工後の仕上がり確認も徹底して行い、不備がないことを確認することが重要です。
防水工事の失敗が引き起こすトラブル例
防水工事の失敗は、見た目だけの問題にとどまらず、建物や居住者にさまざまな深刻な影響を及ぼします。小さな施工ミスが後に大きなトラブルを招くこともあるため、失敗の具体的な影響を知ることで、防水工事の重要性を改めて理解することができます。
雨漏りや建物の劣化
防水工事が適切に行われない場合、最も多く発生するのが雨漏りです。施工不良により防水層が機能せず、わずかな隙間から雨水が建物内部に浸入すると、短期間で天井や壁にシミができ、住居環境が悪化します。また、雨水が構造体にまで到達すると、コンクリートの中の鉄筋が錆びる「鉄筋腐食」が進行し、建物全体の耐久性が大きく低下する可能性もあります。
さらに、雨漏りを放置するとカビや湿気が室内に広がり、居住者の健康被害にもつながりかねません。防水工事の失敗による建物の劣化は、目に見えない部分で静かに進行し、気づいたときには大掛かりな補修工事が必要になることが多いのです。その結果、管理組合やオーナーは予定外の修繕費用を負担することになり、経済的な損失も避けられません。
居住者や管理組合とのトラブル
防水工事の失敗は、居住者との間にトラブルを引き起こす原因にもなります。例えば、施工直後に雨漏りが再発した場合、管理組合や施工業者への不信感が高まり、居住者からクレームが発生することがあります。こうしたクレームは、管理組合が対応を求められることが多く、工事のやり直しや原因の調査で余計な労力や時間がかかるだけでなく、管理体制への信頼を損ないかねません。
また、トラブルが長引けば「業者選びに失敗したのではないか?」という指摘も出てきます。その結果、施工業者との間で責任の所在を巡る争いが生じ、さらなるストレスや問題を招く可能性もあります。居住者からの信頼を維持するためにも、防水工事の失敗は絶対に避けなければなりません。
保証や補修対応の難しさ
防水工事の失敗後に発生する問題の一つが、保証や補修対応の難しさです。一般的に防水工事には保証期間が設けられていますが、施工ミスによるトラブルの場合、保証が適用されないケースも少なくありません。例えば、契約時に工事内容や保証の範囲が曖昧であった場合、施工業者と管理組合の間で補修費用を巡るトラブルに発展することもあります。
さらに、施工後に失敗が判明しても、すぐに補修工事ができるとは限りません。特に大規模なマンションでは、工事スケジュールの再調整や居住者への通知が必要となるため、追加工事が長期化することがあります。その間にトラブルが拡大し、結果的に管理組合やオーナーの負担がさらに増えることも考えられます。
こうした事態を避けるためにも、施工前に契約内容や保証範囲をしっかりと確認し、信頼できる施工業者を選ぶことが何より重要です。
防水工事の失敗を防ぐためのポイント
防水工事の失敗を防ぐためには、施工前の準備から工事後の点検まで、しっかりとした対策が必要です。特に、業者選びや契約内容の確認を徹底することで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、防水工事を成功させるために押さえておきたい重要なポイントについて解説します。
信頼できる業者を選ぶ
防水工事を成功させる最大のポイントは、信頼できる業者を選ぶことです。しかし、実際には、価格の安さや短い工期だけで業者を選んでしまい、後でトラブルに発展するケースが少なくありません。施工業者を選ぶ際には、複数の業者から見積もりを取り、工事内容や費用の内訳をしっかりと比較検討することが重要です。
また、業者の実績や資格も確認しておくと良いでしょう。例えば、大規模修繕に直結する専門資格を持つ業者であれば、技術や知識が一定の基準を満たしているため、安心して工事を任せることができます。さらに、過去の施工事例や顧客の口コミもチェックし、信頼性の高い業者を選ぶことが、工事成功への近道です。
工事内容や契約内容の確認
防水工事では、契約内容や工事内容を事前に明確にしておくことが不可欠です。特に、契約書に工事の仕様、工程、使用する材料、保証期間がしっかりと記載されているかを確認しましょう。例えば、「工事の仕様」が曖昧だと、後になって「思っていた工事と違う」といったトラブルが発生することがあります。
また、工事内容を確認する際には、防水工法の種類や適切な施工方法が選ばれているかも重要です。事前に管理組合やオーナー側でも防水工事の基本知識を把握し、疑問点は業者に確認しながら進めることが大切です。契約時には、保証内容についても明確にしておき、不具合が生じた際の補償範囲や期間を確認することで、安心して工事を任せられます。
定期的な点検とメンテナンスの重要性
防水工事が完了した後も、定期的な点検とメンテナンスを怠らないことが、建物を長持ちさせるためには欠かせません。施工が完了した直後は問題がなくても、時間の経過とともに防水層が劣化し、小さなひび割れや剥がれが発生することがあります。そのため、定期的に点検を行い、早期に補修を行うことで、重大なトラブルを未然に防ぐことができます。
特に、マンションの屋上やバルコニーなどは風雨にさらされやすく、防水層の劣化が進みやすい場所です。年に一度は専門業者に依頼して点検を実施し、小さな不具合でも早めに対処することが大切です。また、定期点検の結果を記録として残しておくことで、次回の防水工事の際にも役立てることができます。
まとめ~三重県のアパート・マンションの防水工事なら
本記事では、マンションの防水工事における失敗例とその原因、失敗が引き起こすトラブル、そして失敗を防ぐための具体的なポイントについて詳しく解説しました。
防水工事は建物を守る重要な工事ですが、施工の過程で小さなミスや確認不足があると、雨漏りや建物の劣化といった深刻な問題を引き起こします。特に、既存の防水層の状態を調査しないまま施工を行ったり、下地の清掃や乾燥を怠ったりすることが、大きなトラブルの原因になります。また、工事後の管理が不十分だと、居住者や管理組合との間でトラブルが生じることも少なくありません。
防水工事を成功させるためには、信頼できる業者を選び、契約内容や工事内容を事前に確認することが大切です。さらに、工事後も定期的な点検とメンテナンスを行うことで、防水層を長持ちさせ、余計なトラブルやコストを未然に防ぐことができます。
防水工事は、一度の施工で終わりではなく、長期的に管理していくことが重要です。今回の記事を参考に、防水工事の失敗を防ぎ、安心して建物を維持していきましょう。
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