マンションの防水工事は、建物の耐用年数を延ばし、住民の生活環境を守るために極めて重要なメンテナンスです。
適切な防水工事を行うことは、将来的なトラブルを避けるために欠かせません。
しかし、防水工事には種類ごとに異なる費用や耐用年数があり、どの方法を選ぶべきか迷うことも多いでしょう。
本記事では、マンションの防水工事について、その重要性から種類別の費用相場や耐用年数、必要な劣化症状に至るまで詳しく解説していきます。
マンション防水工事の重要性
マンションの建物は、風雨や気象条件に晒され続けるため、防水工事はその寿命を延ばすために不可欠です。
建物内部を守るためには、防水層の適切な保守と修繕が必要です。
雨漏りが生じると、建物に深刻な損害をもたらします。
防水工事により、雨水や湿気の侵入を防ぎ、建物内部を守ることができ、内部の木材や金属部品が錆びず、腐食を防ぎます。
また、湿気や水分の浸透を抑えることで、建物の構造にかかる負荷を減少させ、建物の修繕コストを大幅に削減できます。
さらに、建物の外壁や屋根、バルコニーなどの耐用年数を維持できます。
定期的な保守と工事により、建物が長期間にわたって機能し続けることができ、オーナーや住民にとって安心感を提供します。
マンション防水工事の種類と費用相場・耐用年数
マンションの防水工事には、さまざまな種類があります。それぞれの工法には異なる費用相場と耐用年数が存在し、適切な選択が必要です。
ここでは、主要なマンション防水工事の種類を紹介し、それぞれの費用相場と耐用年数について詳しく解説します。
ウレタン防水(密着工法・通気緩衝工法)
ウレタン防水は、マンションの防水工事において一般的に選ばれる方法の一つです。
ウレタン防水の費用相場は、一般的には4,500円から11,500円/㎡程度とされています。
耐用年数は10年から13年となり、定期的なメンテナンスを行うことで寿命を延ばすことが可能です。
この工法は、液状の防水材料を使用するため、複雑な形状や障害物の多い場所にも容易に施工できる特長があります。
また、軽量であるため、建物の荷重に対する負担も少ない点がメリットと言えます。
ウレタン防水には、密着工法と通気緩衝工法の二つが存在します。
①密着工法
密着工法では、ウレタン防水材を建物の下地の上に直接塗布します。さらに、メッシュ素材の補強布を張り付け、その上からウレタン防水材を塗り重ねて所定の厚さに仕上げます。この工法は、ウレタン材料をしっかりと建物に密着させ、水の浸透を防ぐ効果があります。
②通気緩衝工法
特殊な通気緩衝シートを下地に張り付け、その上にウレタン防水材を塗布します。通気緩衝シートには溝があり、これにより建物内部の通気を確保します。防水層の下で湿気がたまりにくく、ウレタン材料を効果的に保護するため、耐久性に優れています。
塩ビシート防水(接着工法・機械的固定工法)
塩ビシート防水は、その優れたコストパフォーマンスから、障害物が少なく、平坦な表面が求められる場所で広く利用されています。
ただし、施工時の注意と定期的な点検が必要で、剥がれや亀裂が生じた際には早急な修復が求められます。
費用相場は、一般的には4,000円から14,500円/㎡程度とされています。比較的コスト効率の良い防水工法と言えます。
耐用年数は、一般的には12年から15年とされています。この工法は低コストで施工できるため、一定の期間での更新が考えやすく、効率的なメンテナンスが可能です。
塩ビシート防水は、主に接着工法と機械的固定工法の二つの方法で施工されます。
①接着工法
地もしくは塩ビシート自体の裏面に接着剤を塗り、それを建物に張り付ける工法です。比較的シンプルで迅速な施工が可能です。
②機械的固定工法
下地に直接ではなく、緩衝材を介して、鋼板やビスなどの機械的な手段で防水層を固定する工法です。シート防水の素材特性を最大限に活かし、耐久性を高めるために用いられます。
アスファルト防水(熱工法・トーチ工法・常温工法)
アスファルト防水は、古典的な防水工法でありながら、その信頼性が現代でも高く評価されています。
費用相場は、工法や施工地域によって異なりますが、一般的には6,500円から15,000円/㎡程度とされています。耐久性の高さを考えれば、コストは合理的と言えるでしょう。
耐用年数は、一般的には12年から20年と言われています。アスファルトの防水性と耐久性により、比較的長い期間にわたって効果を発揮します。
アスファルトは防水性が非常に高く、耐久性も優れているため、多くの建物で利用されています。しかし、アスファルトを溶融する際に発生する煙や臭いがデメリットとされています。
アスファルト防水には3つの工法があります。
①熱工法
アスファルトを溶かしたアスファルト溶融釜と呼ばれる機器を使用し、アスファルトとルーフィングシートを交互に重ねて防水層を作ります。溶融工程に煙や臭いが伴うことがあります。
②トーチ工法
ルーフィングシートを使用し、トーチバーナーで溶かし、加工面に接着させて防水層を形成させます。アスファルトの防水性を活かしながら、煙や臭いを最小限に抑える利点があります。
③常温工法
アスファルトルーフィングシートの裏面に粘着層を加工し、改質アスファルトルーフィングシートを交互に張り重ねて防水層を形成します。この工法は常温で行うため、煙や臭いの発生が少なく、施工性が高いと言えます。
FRP防水
FRPは繊維強化プラスチック(Fiber-Reinforced Plastic)の略で、ガラス繊維で補強されたプラスチックとポリエステル樹脂を組み合わせて作られます。
費用相場は、一般的には4,000円から9,500円/㎡程度とされています。コストはかかりますが、その耐久性や特性を考えれば、投資対効果が高いと言えます。
耐用年数は、一般的には10年から15年と言われています。
FRPは軽量な材料であり、建物への負担が少ないため、建物の構造に対して優れた選択肢となります。
腐食しにくく、長期間の耐久性を提供します。また、ポリエステル樹脂の組み合わせにより、摩擦や温度変化にも強く、紫外線による劣化も少ない特性があります。
重みや衝撃に対して優れた耐久性を持っていますが、伸縮性には弱いため、地震などの大きな揺れがあった場合には割れやすいというデメリットがあります。
防水工事が必要な劣化症状
防水工事が必要なタイミングを見逃すと、建物内部への雨漏りや腐食などの問題が発生する可能性があります。
ここでは、防水工事が必要な劣化症状に焦点を当て、どのような兆候に注意を払うべきかを詳しく解説します。
水がたまる
①水はけが悪くなっている
建物周辺の水はけが悪くなると、雨水や排水が適切に流れず、建物周辺にたまりやすくなります。
このたまった水が建物の基礎部分に浸み込むと、構造材料への浸透や下地への影響が生じる可能性があります。
雑草が生えている
建物周辺や床面、継ぎ目などに雑草やコケが生える現象は、建物の外部環境や防水層の状態を示す重要なサインとなります。
これらの植物の生育は、建物の性能が低下していることを示唆し、防水工事が必要だと言えます。
防水シートの浮き・剥がれ
建物の屋根や外壁に使用されるシート防水は、耐久性に優れた素材でありながら、時間と外部要因の影響を受けることで、浮き上がりや剥がれといった症状が生じることがあります。
これらの問題を放置していると、防水層の機能性が低下し、雨漏りなどの深刻な建物の損傷を引き起こす可能性があります。
雨漏り
雨漏りが発生すると、屋内の壁や天井に水が浸透し、建物内部に損害をもたらします
屋内にまで雨水が侵入し、住人に迷惑をかけるだけでなく、建物自体にも大きな被害をもたらす可能性があります。
雨漏りが発見された場合、放置せずに早急なメンテナンスを行うことが不可欠です。
まとめ
この記事では、マンションの防水工事について詳しく解説しました。
防水工事は建物の寿命を延ばし、雨漏りや内部の腐食を防ぐ重要なメンテナンス作業です。
定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、マンションの長寿命と住環境の快適さを守ることが可能です。
マンションの防水工事を検討している場合であれば、地元に根付いて営業活動している大規模修繕専門店に相談しながら決めていくようにしましょう。
疑問や質問などございましたら、『株式会社リペイント匠 大規模修繕事業部(TEL0120-770-760 営業時間8:00~20:00)』までお気軽にお問合せしてください。
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