マンションの維持と価値向上には、定期的な修繕が不可欠です。その際に避けて通れないのが『足場の設置』です。
足場は修繕作業を安全に、かつ効率的に行うための基盤を提供しますが、設置には費用や居住者への負担、さまざまな注意点が伴います。
本記事では、大規模修繕店がマンション修繕で足場を設置する理由から、費用相場、居住者の負担軽減方法に至るまで、わかりやすく解説します。
マンションの外壁塗装で足場を設置する理由
マンションの大規模修繕において欠かせない『足場の設置』。
足場は作業員が安全に、かつ効率的に作業を進めるための土台を提供し、高所作業のリスクを最小限に抑える役割を果たします。
しかし、その設置は費用や期間、居住者への影響など、多くの負担や注意点を伴います。
ここでは、マンションの外壁塗装における足場設置の必要性を深掘りし、その過程で生じる負担や様々な注意点について詳しく解説します。
マンションの外壁塗装で足場を設置する理由
マンションの外壁塗装において足場を設置する理由は、主に以下の三点に大別されます。
① 工事の品質向上
高所での作業が多いマンション修繕では、安定した作業環境が必要不可欠です。
足場を設置することで、作業員が安全に移動しやすい環境を確保し、塗装や外壁の補修など、細部にわたる作業を丁寧に行うことができます。
結果として、全体的な工事の品質が向上し、長期的に建物の価値を保つことができるのです。
② 作業員の安全確保
マンションの外壁塗装工事における最優先事項は、作業員の安全です。
高い場所での作業は、転落や落下物のリスクを伴いますが、適切に設置された足場はこれらのリスクを大幅に低減させます。
安定した作業スペースを提供することで、作業員は安心して作業に集中でき、事故の発生率を下げることができます。
③ 作業効率の向上
足場は、作業効率を大きく向上させる役割も担っています。
適切な高さと位置に設置された足場は、作業員が必要な材料や工具を容易に取り扱えるようにし、作業の移動時間を短縮します。
また、複数の作業員が同時に異なる作業を行うことが可能になり、全体の工期短縮にも寄与します。効率的な作業進行は、修繕コストの削減にも繋がります。
足場の設置による居住者への負担
マンションの外壁塗装での足場設置は、作業の安全性や効率を大きく向上させる一方で、居住者への負担を伴うことが避けられません。
足場の設置作業は、金属部品の組み立てや調整を伴うため、必然的に騒音が発生します。この騒音は、特に日中に居住者の生活に影響を与えることがあります。
また、足場が窓の外に組み上げられると、自然光の入り方が変わり、窓を開けることに制限が出るため、換気や自然な日光を取り入れることが難しくなります。
これは、特に長期間にわたる修繕工事では、居住環境に大きな影響を及ぼすことがあります。
加えて、足場が窓の直前に設置されることで、洗濯物を外に干すスペースが失われる場合があります。
居住者は部屋干しを余儀なくされ、その結果、室内の環境や生活リズムを損なうという問題に直面することがあります。
また、作業員が窓の外を行き来することにより、プライバシーが侵害される感覚を覚える居住者もいます。窓を通じての視線が気になるだけでなく、時には声が聞こえたり、作業の様子が目に入ったりすることもあるためです。
セキュリティ面では、足場が不正侵入のための「足がかり」になる可能性があります。特に、低層階に住む居住者は、足場を利用した侵入を懸念することがあります。
そのため、修繕期間中はセキュリティ対策の強化が必要になることがあります。
これらの負担を軽減するためには、管理組合や大規模修繕店と居住者との間で、事前の説明会を開催することが有効です。
足場に関する注意点
足場設置に伴う居住者の負担を軽減し、マンション修繕工事を円滑に進行させるためには、事前の準備、工事中の対応、そして工事後のフォローが重要になります。
①居住者への事前説明会
修繕工事が始まる前に、居住者向けに説明会を開催することが非常に重要です。
説明会では、工事の目的、スケジュール、足場設置の必要性、足場設置の期間、居住者への影響およびその影響を軽減するための具体的な対策について詳細に説明します。
また、居住者からの質問に直接回答し、不安や疑問を解消する場を設けることが大切です。
②工事中の対応
騒音やプライバシーへの配慮: 工事中は、特に騒音やプライバシーの保護に配慮する必要があります。
作業時間を居住者の生活リズムに合わせて調整する、プライバシーシートの使用、不必要な作業員の窓際での滞在を避けるなどの措置を講じます。
また足場を利用した不正侵入のリスクを考慮し、工事期間中は特にセキュリティ対策を強化します。
防犯カメラの設置や夜間巡回の実施など、居住者が安心できる環境を提供することが重要です。
工事の進捗状況や今後の予定について、居住者に対して定期的に情報を提供することも大切です。
③工事後のフォロー
工事が完了した後には、再度居住者を対象とした報告会を開催します。工事の成果と、足場設置による影響への対応策の成果について報告し、居住者からのフィードバックを収集します。
工事や足場設置に関連する居住者からのクレームには迅速かつ丁寧に対応します。問題点の特定と解決策の提案を通じて、居住者の満足度を保ちます。
マンションの外壁塗装で設置される足場の種類
マンションの大規模修繕では、作業を支える足場の役割が非常に重要です。
足場は、作業員が安全に、かつ効率的に作業を行うための基盤を提供し、修繕工事の品質を保証するために不可欠な要素となります。
足場にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や適用される状況が異なります。
ここでは、マンション修繕で一般的に使用される足場の種類を紹介し、それぞれの特性と利点、選択時の考慮点について解説します。
クサビ式緊結足場
クサビ式緊結足場は、部材同士をクサビで固定することにより組み立てられる足場です。
この種類の足場は、組み立てや解体が比較的簡単であり、強度も高いという特性を持っています。
高所での作業において、安定した作業環境を提供することができるため、マンションの外壁塗装などの修繕工事に適しています。
選択時の考慮点としては、作業範囲の広さや必要な強度、そしてコストのバランスを見極めることが重要です。
枠組み足場
枠組み足場は、予め組み立てられた枠を組み合わせていく形式の足場で、設置と解体が迅速に行えることが大きな利点です。
このタイプの足場は、比較的軽量で扱いやすく、多様な建物の形状に対応する柔軟性があります。
マンション修繕では、狭いスペースや不規則な形状の箇所に適用することができるため、特に利用価値が高いです。
選択時には、設置場所の条件や作業の内容を考慮し、最適な枠組みの構成を選ぶことが求められます。
次世代足場
次世代足場は、安全性や作業効率、環境負荷の低減を目的として開発された最新の足場システムです。
従来の足場に比べて軽量で扱いやすく、組み立てや解体の作業効率が大幅に向上しています。
また、作業員の安全を守るための機能が強化されており、落下防止ネットの組み込みや足場板の滑り止め処理など、細かな配慮が施されています。
選択時には、コストと安全性のバランスを考えるとともに、環境への影響を最小限に抑えたい場合に最適な選択肢となります。
単管足場
単管足場は、その名の通り、単一の管状の部材を組み合わせて作られる足場で、その柔軟性が最大の特徴です。
任意の長さにカットして組み立てることができるため、非常に複雑な形状や狭いスペースにもフィットするカスタマイズが可能です。
マンション修繕では、特定の条件下での作業や限られたスペースでの使用に適しています。
選択時の考慮点としては、設置場所の形状や作業内容の特性を詳細に分析し、最も適した構造を設計する必要があります。
また、単管足場は組み立てに専門的な技術が必要となることもあり、作業者の技能を考慮することも重要です。
マンションの足場単価の相場とコストを抑える方法
マンションの大規模修繕を計画する際には、予算策定が重要な要素の一つです。特に、修繕工事において大きな割合を占める可能性があるのが、足場の設置費用です。
足場の単価は、使用する足場の種類、設置する高さや面積、工事の期間、そして地域によっても大きく変動します。
ここでは、マンション修繕における足場単価の相場に焦点を当て、一般的な価格範囲とその要因、さらには費用を抑えるためのポイントについて詳しく解説します。
足場単価の一般的な相場
足場単価の相場は、地域や足場の種類、さらには工事の規模や期間によって異なりますが、一般的には1平方メートルあたり700円から1,200円が相場となっています。
マンション修繕における足場設置費用を算出する際には、足場の総面積（施工面積）の計算「（建物外周＋8m）×高さ」が基本となります。
この式により算出される総面積は、実際の建物の外周に加え、足場の設置や解体に必要な追加のスペースを考慮に入れたものです。
この式を用いることで、足場の実際の必要面積をより正確に見積もることが可能になります。例えば、建物の外周が100メートル、平均的な作業高さが10メートルであれば、計算は以下のようになります。
(100m+8m)×10m=108m×10m=1,080平方メートル
足場単価が1平方メートルあたり1,000円と仮定した場合、足場設置費用の概算は以下の通りになります。
1,080平方メートル×1,000円=1,080,000円
ただし、足場単価の相場は地域や足場の種類、さらにはマンションの規模や期間によって異なるため、正確な見積もりを得るには足場設置業者に相談することが重要です。
マンションの階層が高い場合は高額となる傾向
マンション修繕における足場設置費用は、建物の階層が高くなるにつれて1平方メートルあたりの費用が高くなる傾向にあります。
特に、足場の高さが増すにつれて、安全性を確保するための措置が必要となり、それが直接的なコスト増加につながっているのです。
高層建築物での足場設置では、風圧による倒壊リスクが高まります。
これを防ぐためには、より強固な構造の足場が必要となり、通常の足場よりも多くの材料や、特別な技術が求められます。
高層部では、作業の難易度が高く、より専門的な技術や注意深い作業が要求されます。高所作業には特有の危険が伴うため、安全対策を徹底しなければなりません。
また、作業員が安全ハーネスを着用することや、作業中の安全確保のために追加の監督者を配置することが含まれる場合があるのです。
自社で足場を持っている場合には安くなることが
マンションの修繕工事を行う際、足場設置の費用は大きな割合を占めることがあります。
このコストを抑える一つの方法として、自社で足場を持ち、組み立てから解体までを一手に担う会社に工事を依頼することが挙げられます。
通常、足場設置には専門の足場業者が行います。
修繕工事を請け負う会社が足場業者と別の場合、工事会社は足場設置のために業者に支払う費用に加えて、仲介手数料を上乗せして顧客に請求することが一般的なのです。
しかし、自社で足場を持ち、組み立てから解体までを自社のスタッフで行う会社では、これらの仲介手数料が発生しません。
その結果、顧客は足場設置に関わる総コストを低く抑えることが可能になります。
自社で足場を持つ会社は、足場の設置と修繕工事をスムーズに一貫して行うことができます。
作業の効率化に繋がり、修繕工事の時間短縮にもつながります。時間が短縮されれば、それは人件費の節約にも繋がり、さらにコスト削減の効果を高めます。
自社で足場を管理することで、急なスケジュール変更や細かな修正にも柔軟に対応できるようになります。
外部の業者を利用する場合、スケジュールの調整や追加工事には新たなコストが発生しやすいですが、自社で足場を持つことで、このような追加費用を抑えることが可能です。
マンション修繕の足場設置について大規模修繕店に相談を
マンションの大規模修繕に際して、足場設置は不可欠です。
足場設置に関するコストは、修繕工事全体の予算に大きな影響を与えるため、計画段階から適切な相談と検討が必要になります。
特に、自社で足場を持っている修繕店に依頼することで、足場設置のコストを抑えることが可能です。
仲介手数料が不要で、作業の効率化や柔軟なスケジュール調整が期待できるため、修繕工事全体の費用と期間の削減に繋がります。
大規模修繕店に足場設置について相談することの最大のメリットは、ニーズに合わせた最適な計画を立てることができる点にあります。
修繕店は、メリットを総合的に考慮し、予算内で効率のよい結果を得るためのアドバイスを提供できます。
また、安全基準の遵守、効率的なスケジュール管理、コスト削減のための提案など、修繕工事に伴うさまざまな課題に対応するための専門知識を有しています。
まとめ
本記事では、マンション修繕における足場設置の重要性、種類、費用相場、およびコスト削減の方法について詳しく解説しました。
足場設置は、作業員の安全を確保し、修繕工事の品質を高めるために不可欠ですが、同時に修繕工事の総コストに大きな影響を与える要素の一つでもあります。
重要なのは、修繕工事を計画する際に、大規模修繕店に相談することです。
マンション修繕における足場設置は、計画段階から細心の注意を払い、専門家の意見を積極的に取り入れることで、最適な結果を得ることができるのです。
マンションの外壁塗装や防水工事など修繕を検討しているのであれば、地元に根付いて営業活動している大規模修繕専門店に相談しながら決めていくようにしましょう。
疑問や質問などございましたら、『株式会社リペイント匠 大規模修繕事業部（TEL0120-770-760 営業時間8:00〜20：00）』までお気軽にお問合せしてください。
三重県津市・松阪市・鈴鹿市・亀山市・名張市・いなべ市を中心として、アパートやマンションの大規模修繕専門店として営業しております。
防水工事・外壁塗装・ タイル工事・屋根塗装・補修工事でお悩みの方はお気軽にお問合せください。
