マンションの外壁に生じるクラック(ひび割れ)は、見た目の美観だけでなく、建物の構造安全にも影響を及ぼす可能性があります。
このため、クラックの原因を正確に理解し、適切なタイミングで補修を行うことが極めて重要です。
本記事では、大規模修繕を専門とする業者の視点から、マンションの外壁におけるクラックの注意点、その原因、そして補修の目安について詳細に解説します。
マンション外壁のクラック(ひび割れ)の注意点
マンションの外壁にクラックが発生すると、多くの場合、単なる見た目の問題ではなく、建物の保護機能への影響が心配されます。
クラックにより外壁の防護能力が低下することは、さまざまな追加問題を引き起こす原因となります。
ここでは、外壁のクラックがマンションに及ぼす具体的な影響について詳細に説明します。
美観を損なう
マンションの外壁にクラックが生じると最も直接的に感じる影響は、建物の美観の損失です。
外壁はマンションの”顔”とも言える部分であり、その美しさはマンションの価値を大きく左右します。
ひび割れが多いと、建物が古く見え、手入れが行き届いていない印象を与えがちです。これは、
賃貸物件の入居率に影響するだけでなく、売却時の評価額にも影響するため、経済的な損失に直結する問題です。
雨水が外壁内部に侵入して腐食する
クラックを通じて雨水が外壁内部に侵入すると、建物の腐食や損傷が進行します。
特に、水が内部の鉄筋に到達すると、鉄筋が錆びることがあります(鉄筋の腐食)。
この錆びは鉄筋の膨張を引き起こし、さらにクラックを広げ、コンクリートの剥離を促進する可能性があります。
長期間にわたる水の浸透は、構造体の寿命を短縮させ、修復費用を増大させるため、早期の発見と適切な防水処理が重要です。
コンクリートが爆裂を起こす
コンクリートの爆裂は、水分が含まれた状態で温度が急激に変化することにより生じる現象です。
特に冬場に外気温が急激に下がると、コンクリート内部の水分が凍結し、体積が増加します。
このとき、コンクリート内部の圧力が増大し、結果としてコンクリートが爆裂を起こすことがあります。
この現象は、外壁のクラックから水が侵入しやすくなっている場合に特に見られ、構造的な問題に発展するリスクがあります。
適切な措置とクラックの修復が損傷を防ぐ鍵となります。
耐久性・耐震性の低下
外壁のクラックは、マンションの耐久性や耐震性にも影響を与えます。
クラックが進行すると、建物全体の剛性が低下し、地震や強風などの外力に対して建物が本来持つべき耐力を発揮できなくなることがあります。
特に、構造的な部分にクラックが発生した場合、その影響は重大です。
建物の安全性を確保するためには、定期的な点検と、必要に応じた補強工事が求められます。
このような維持管理は、長期的に見ても建物の価値を保持し、安全を確保するために不可欠です。
マンション外壁のクラック(ひび割れ)の原因
マンションの外壁にクラックが発生する原因は多岐にわたりますが、それぞれの原因を理解することは、効果的な予防策を講じるために非常に重要です。
外壁のクラックは、建物の健全性を脅かし、修繕コストの増加を招くだけでなく、長期的な建物価値の低下をもたらす可能性があります。
ここでは、クラックの最も一般的な原因を詳しく解説し、それぞれに対する適切な対応策を提示します。
温度・湿度変化による収縮・膨張
コンクリートやその他の建築材料は、温度や湿度の変化にも敏感に反応します。
特にコンクリートやモルタルなどの多孔質材料は、湿度が高くなると水分を吸収し膨張し、逆に乾燥すると収縮します。
このような収縮と膨張は、材料内部に繰り返し応力を生じさせ、時間が経過するにつれて外壁に細かなクラックを発生させる原因となります。
例えば、梅雨時や雨季には湿度が高まり、建物の外壁が急速に水分を吸収して膨張します。
その後、天候が改善されて湿度が低下すると、外壁材料は収縮し、この繰り返しによりクラックが生じやすくなるのです。
地震など振動による影響
地震やその他の振動は、建物の外壁にクラックが生じる一般的な原因の一つです。振動によって建物全体が揺れると、外壁材料や構造体に亀裂が入ることがあります。
特に、接合部や構造的に弱い部分は、地震の際に大きなストレスがかかりやすく、クラックが発生しやすい箇所です。
また、地震による揺れは、建物の基礎と上部構造との間で力の伝達が不均一になることがあり、この不均衡がクラックを引き起こすこともあります。
新しい建築基準法に基づいて建てられた建物は、地震の影響を受けにくい設計がなされていますが、古い建物では耐震補強が必要な場合が多いです。
コンクリートの中性化
コンクリートの中性化は、大気中の二酸化炭素がコンクリートのアルカリ成分と反応して、コンクリートのpH値が低下する化学反応のことを指します。
このpH値の低下により、コンクリート中の鉄筋が錆びやすくなり、その結果、鉄筋の膨張によるクラックが発生することがあります。
コンクリートの中性化は、時間の経過とともに避けられない現象であり、特に外壁のように大気にさらされている部分で顕著に進行します。
中性化から建物を守るためには、防水性や耐CO₂性の高い塗料で定期的に塗り直すことが有効です。
施工不良
施工不良は、外壁のクラックが生じる主要な原因の一つです。
これには、不適切な材料の選定、施工中の材料の取り扱いミス、技術的な不備、適切な施工が行われない場合、などが含まれます。
マンション外壁のクラック(ひび割れ)補修の目安
マンションの外壁に発生したクラックの適切な補修は、建物の長期的な保全と安全を確保する上で欠かせない措置です。
クラックの発見から補修までの流れをスムーズに行うためには、定期的な点検が不可欠であり、その結果に基づいて補修の必要性を判断します。
ここでは、マンション外壁のクラックに対する適切な点検と補修のタイミング、方法について解説します。
定期的な定期点検の必要性
マンションの外壁は、定期的な点検を行うことで早期にクラックを発見し、より大きな損傷を防ぐことが可能です。
点検は、専門会社などに依頼して詳細な点検を実施し、外壁の状態を記録することで、時間の経過とともにどのような変化が起きているかを把握できます。
点検の頻度は、建物の使用年数、過去の補修履歴、気候条件などによって異なりますが、一般的には年に1回が推奨されます。
定期点検により、小さなクラックを見逃さず、適切な時期に補修できるようになります。
大規模修繕で補修を
マンションの外壁クラックに対する補修は、大規模修繕計画の一環として行うのが最も効果的です。
大規模修繕は通常、10年に1度程度の周期で計画され、外壁のクラック補修の他、塗り替えや防水処理など、建物全体のメンテナンスが行われます。
補修作業には、クラックの幅や深さに応じて適切な材料と技術が選ばれ、専門的な知識を持つ業者によって実施します。
大規模修繕では、単にクラックを埋めるだけでなく、その原因を特定し、再発を防ぐための根本的な対策も検討されます。
このようにして、マンションの安全性と美観を長期間にわたって保持することができます。
まとめ
本記事では、マンションの外壁に発生するクラック(ひび割れ)の注意点、原因、そして補修の目安について詳しく解説しました。
クラックは単なる美観の問題ではなく、建物の構造的な安全性や耐久性にも深刻な影響を及ぼすため、その管理と対策はマンションの維持管理において非常に重要です。
マンションを安全で快適な居住空間として維持するためには、外壁のクラックに対して適切な注意とケアを払うことが求められます。
専門会社と協力し、計画的かつ継続的な建物管理を行うことで、長期的な建物価値の保全と居住者の安全を確保できるでしょう。
マンション外壁のクラック(ひび割れ)にお悩み・お困りであれば、地元に根付いて営業活動している大規模修繕専門店に相談しながら対策を決めていくようにしましょう。
疑問や質問などございましたら、『株式会社リペイント匠 大規模修繕事業部(TEL0120-770-760 営業時間8:00〜20:00)』までお気軽にお問合せしてください。