外壁に目をやると、外壁材にひび割れが生じていることや、表面が浮いているようにみえることがあります。
これは、外壁材そのものが劣化や損傷している状態で、そのまま放置していると、雨漏りを引き起こしてしまうリスクがあります。
雨漏りは建物を急激に劣化させてしまう原因になるものですから、耐震性にまで影響を及ぼし、ついには資産価値も低下させてしまうことになります。
そのため、外壁には塗装だけではなく、下地を整える『下地補修』と呼ばれる工事が重要なのです。
そこでここでは、アパート・マンション外壁の下地補修について、三重県津市・松阪市・名張市のアパート・マンション大規模修繕専門店が詳しくお伝えしていきます。
アパート・マンション外壁の下地補修とは?
下地補修は、外壁材の劣化症状を整えるための工事のひとつで、外壁材を守るだけではなく、建物そのものの耐久性を維持・向上させる重要な役割があります。
ここでは、下地補修とはどのような工事なのか、下地補修しないとどうなるのか、補修方法を踏まえ、下地補修の概要についてお伝えします。
下地補修とは
下地補修とは、外壁塗装工事の工程の一つで、下地であるコンクリートやモルタルに生じている劣化症状を補修する工事です。
外壁塗装と言うと、外壁に塗装するだけのようなイメージを持つ方も多いのですが、塗料を外壁にしっかりと密着させ、強固な塗膜を形成して、塗料の機能を最大限引き出すために、さまざまな工程が行われています。
特に下地補修は、塗料を直接的に塗り重ねる部分の補修ですから、塗料の耐久性を高め、仕上がりを綺麗にするためにとても重要なのです。
具体的な補修方法については後述しますが、例えば、ひび割れが生じている箇所に対して、ゴムのようなシーリング材を充填して埋め、雨水が外壁内部に侵入しないようにします。
この工法は、雨水の侵入だけではなく、塗装した際に、塗料も染み込んでいかないようにするためのもので、塗膜の仕上がりに大きな影響を与えるものなのです。
その他にも、下地調整材として塗られているモルタルが浮いているのを補修することや、外壁タイルが浮いて剥がれそうになっているのを補修するのも、下地補修です。
このように、下地補修は建物を守る工事であると言えるでしょう。
下地補修しないとどうなる
下地補修の具体的な目的は、外壁の耐久性を維持し、建物そのものを守ることにあります。
上記において、劣化症状をそのままにしていると、雨漏りのリスクが高くなるとお伝えしましたが、その他にも次のようなリスクがあります。
- 外壁タイルが剥がれ落ち、通行人を直撃するような事故
- 建物の劣化が顕著となり、資産価値が落ちてしまう
- 雨漏りが生じ、建物の耐震性も低くなってしまう
アパートやマンションの外壁に、外壁タイルを活用しているケースは多いですが、外壁タイルが劣化すると、下地から外壁タイルが浮いてしまうことがあります。
下地補修においては、浮いている外壁タイルを見つけて接着させるような工事が行われますが、そのまま気づかずに放置していると、剥がれ落ちてしまう可能性があります。
外壁タイルが剥がれ落ちてしまうと、場合によっては通行人に直撃してしまい、大事故を引き起こしてしまう可能性もあるのです。
ひび割れや外壁タイルの剥落が生じると、明らかに劣化を感じられる外観となってしまうことから、入居率にも影響を及ぼす可能性があります。
また、雨漏りが生じて、外壁内部が腐食するようになると、建物の耐震性まで衰えさせてしまうことになり、資産価値がどんどん低くなってしまうのです。
下地補修の種類
下地補修は、外壁材に生じるさまざまな劣化症状に対応する必要があることから、補修工事の工法においてもいくつかの種類が存在します。
詳しい工法の内容については後述しますが、
- ひび割れの補修(フィラー処理・Uカットシーリング材充填など)
- モルタルの浮きに対する補修(エポキシ樹脂アンカーピンニング注入など)
- 外壁タイルの補修(タイル張替・モルタル充填など)
などと、大きく分けることができます。
劣化症状に応じた下地補修が必要になることから、足場を設置した後に、下地調査を行ってから、適切な工法によって補修が行われます。
例えば、ひび割れについては、『クラックスケール』と呼ばれる、ひび割れ専用の定規によって劣化の度合いを判断し、適切な工法を選択することになります。
また、外壁タイルに対しては、打診棒で叩いて浮いている箇所を見つけ、浮きの程度によって適切な工法を検討していきます。
下地補修が必要な劣化症状
下地補修は外壁材の耐久性を維持・向上させるために必要な工事ですが、そもそも外壁材にどのような劣化症状がみられるのでしょうか。
ここでは、下地補修が必要になる劣化症状をいくつかご紹介しますので、建物に劣化症状が見られないか、確認してみるようにしましょう。
クラック(ひび割れ)
外壁材が経年によって劣化が生じると、クラックと呼ばれるひび割れが発生するようになります。
外壁に活用されているモルタルやコンクリートは、湿気や熱によって収縮を繰り返しますが、経年によってひび割れが生じやすくなってしまうのです。
ひび割れが生じてしまうと、そこから雨水が侵入するようになり、外壁内部にまで達してコンクリートが中性化してさらに水が浸透しやすくなってしまいます。
そのまま放置していると、内部の鉄筋まで腐食させてしまうことになりますから、早めの補修が大切なのです。
モルタルの浮き
モルタルとは、外壁材として活用されている素材で、モルタルを塗りつけ、その上から塗装が施されています。
モルタルの浮きとは、モルタルに塗装した塗膜が浮いている状態と、塗りつけたモルタルそのものが浮いている状態の2種類が挙げられます。
モルタルの塗膜が劣化して浮いている場合には、塗料の機能が失われていることから、モルタルそのものに劣化が生じやすくなります。
また、モルタルそのものが浮いている場合には、その箇所から雨水が侵入してしまい、建物内部を損傷させ、鉄筋を腐食させてしまう可能性があります。
コンクリートの爆裂・欠損
コンクリートの爆裂とは、コンクリートの外壁の一部がボロボロになってしまい、建物の鉄筋が見えているような状態のことを指しています。
古いコンクリートの建物で、そのような症状を見かけた方は多いのではないでしょうか。
正式には『鉄筋爆裂』と呼ばれている症状で、外壁のコンクリートの劣化症状であると考えられています。
上記において、ひび割れや浮き症状によって、外壁内部に雨水が侵入するようになるとお伝えしましたが、雨水が侵入すると困るのがコンクリートの中性化です。
コンクリートはもともと高いアルカリ性の状態なのですが、雨水が侵入するようになるとアルカリ性が失われてしまって、鉄筋が錆びやすくなってしまうのです。
鉄筋が錆びると酸化して膨張するようになり、ついには周辺のコンクリートを押し出してしまい、爆裂が発生するのです。
爆裂が発生すると、外壁材の表面が膨れてきたり、ひび割れた内部から錆びた水が流れ出てきたりします。
そしてついには、コンクリートが欠けた状態(欠損)になってしまうのです。
下地補修の工法
下地補修の工法はさまざまなものがあり、それぞれに特徴があることから、適切な工法を選択したうえで取り組まれます。
工法にはどのようなものがあるのか、代表的なものをお伝えし、その特徴について解説していきましょう。
フィラー処理工法
フィラー処理工法とは、『フィラー刷り込み』と呼ばれることもある補修方法を指します。
フィラーとは『詰め物』『埋め物』という意味を持っていますが、0.2mm~0.5mm程度のひび割れに対して、シーリング材を充填して詰めていきます。
0.2mm~0.5mm程度のひび割れのことを『ヘアクラック』と呼ばれますが、まさに髪の毛程度の幅のひび割れに対して施工されます。
とは言え、その隙間からも雨水が侵入してしまうと損傷してしまいますので、シーリングで埋めて侵入を防ぎ、外壁内部の中性化を防ぎます。
Uカットシーリング材充填工法
Uカットシーリング材充填工法とは、主に雨漏りが発生している、その恐れがあるひび割れに対して採用される補修方法です。
0.5~1.0mm以上の大きなひび割れに対して、ひび割れ部分を中心にU型やV型にカットして、シーリングを充填していきます。
シーリング材はゴム状ですので、さらにひび割れが生じるような場合でも、その動きに対応できますので、内部までひび割れするような状態を防いでくれるのです。
シーリング材が硬化してからは、ポリマーセメントを活用して埋め、外壁を元の状態に整えていきます。
エポキシ樹脂低圧注入工法
エポキシ樹脂低圧注入工法とは、加圧できる専用器具を用いて、ひび割れが発生している箇所に対して、エポキシ樹脂を注入していく補修方法を指します。
上記でご説明したUカットシーリング材充填工法の場合、ひび割れの幅は15mm程度までが限界となりますが、エポキシ樹脂低圧注入工法であればひび割れ内部に加圧しながら注入しますので、ひび割れの深くまで補修が可能です。
特に、構造上において主要な外壁のひび割れや、奥まで貫通しているような大きなひび割れに対して適していると言われています。
エポキシ樹脂アンカーピンニング工法
エポキシ樹脂アンカーピンニング工法とは、外壁タイルやモルタルの浮きや欠損などに対して補修される方法で、外壁タイルにおいては剥落を未然に防ぐために行われます。
外壁タイルやモルタルは、太陽の熱や風圧、気温、湿度、地震など自然条件によって、浮いてしまうことがあります。
打診棒によって浮いている箇所を見つけ、その箇所に対して電動ドリルで削孔し、接着剤の役割のあるエポキシ樹脂、さらにはアンカーピンニングを挿入して補修します。
モルタル充填工法
モルタル充填工法とは、鉄筋爆裂やひび割れによる欠損がある箇所に対して、モルタルで埋めていく工法を指しています。
鉄筋爆裂によって、鉄筋が露出してしまっているような大きな損傷の場合には、エポキシ樹脂モルタルの充てんが適していると言え、損傷部分が浅い場合には、ポリマーセメントモルタルの充てんが採用されるケースが多くなっています。
下地補修の費用相場
下地補修の工法 | 費用相場 |
フィラー処理工法 | 300円~400円/m |
Uカットシーリング材充填工法 | 2,000円~2,500円/m |
エポキシ樹脂低圧注入工法 | 2,000円~3,500円/m |
エポキシ樹脂アンカーピンニング工法 | 5,000円~8,500円/㎡※全面補修の場合 |
モルタル充填工法 | 1,000円~3,000円/m |
上記でご紹介した下地補修の代表的な工法について、費用相場をご紹介します。
費用は単価となっており、施工内容によって総額が算出されることになります。
まとめ
アパート・マンション外壁の下地補修について、その特徴や下地の劣化症状、補修の工法、費用相場についてご紹介しました。
外壁は経年によって劣化すると、ひび割れや浮きなどの症状が現れることがあり、そのまま放置していると、雨漏りを引き起こしてしまう可能性があります。
外壁内部に雨水が侵入し、コンクリートが中性化することによって鉄筋爆裂と呼ばれる症状が起きてしまうと、かなり大がかりな補修が必要になる可能性があります。
また、雨漏りは建物を急激に劣化させてしまい、耐震性にまで影響を及ぼしてしまうため、資産価値を低下させてしまうことに繋がります。
そのため、外壁の下地を整える『下地補修』と呼ばれる工事が重要なのです。
アパートやマンションでひび割れや浮きなどの症状が現れている場合であれば、地元に根付いて営業活動している大規模修繕専門店に相談しながら決めていくようにしましょう。
疑問や質問などございましたら、『株式会社リペイント匠 大規模修繕事業部(TEL0120-770-760 営業時間8:00~20:00)』までお気軽にお問合せしてください。
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