マンションの大規模修繕において施工する割合の多い屋上やベランダなどへの防水工事。
防水工事にもいくつかの種類がありますが、その中でも『FRP防水』と呼ばれる施工方法が選択されるケースが多くなっています。
FRP防水とは、ガラス繊維を混ぜた強化プラスチックを活用した防水工事のことで、軽くて丈夫、さらに防水性に優れていることが知られている工法です。
建物への負担を軽減させて施工できるため、マンションで防水工事に取り組まれる際には、積極的に検討される工法なのです。
ただ、そのような優れた点だけではなく、デメリットも存在するため、両者を比較しながら検討することが大事で、他の工法についても比較しておくことをおすすめします。
そこでここでは、マンションの防水工事の工法のひとつ『FRP防水』について、三重県津市・亀山市・鈴鹿市・四日市市・松阪市・名張市のアパート・アパート・マンション修繕専門店が詳しくお伝えしていきます。
マンションの防水工事の工法のひとつ『FRP防水』とは
FRP防水のFRPとは『Fiber Reinforced Plastics』を略したもので、日本語では『繊維強化プラスチック』のことを指しています
私たちが日常的に手にしているプラスチックよりも、はるかに衝撃に強い性質を持っており、またプラスチックならではの軽さを備えている素材です。
実は身近なところにもFRPが活躍しており、お風呂のユニットバス浴槽やツルツルしたプールの素材にはFRPが使われているのです。
それでは、FRPにどのような特徴があり、防水工事に向いている箇所、またFRP防水以外の防水工法についてもご紹介していきましょう。
FRP防水の特徴
FRPは軽くて丈夫な性質を持っていることから、上記でもお伝えした、ユニットバスやプールのほかにも、自動車や鉄道、人工衛星の素材などでも活用されていることで知られています。
そのような特徴を持っているため、防水性が必要な建物に関する施工においても期待されており、活用されるシーンが多くなっています。
活用される素材は、プラスチックの繊維となっており、防水工事が必要な個所にこのプラスチック繊維を敷き詰めて、その上から樹脂を塗って硬化させ防水層を形成します。
硬化するとプラスチックのように硬くなりますので、耐久性にも優れており、人が歩くことや重いものをおいても問題ありません。
そのため、屋上やベランダなどで活用されるケースが多くみられます。
さらにはプラスチックのように軽量であることから、自動車や飛行機の部品としても活用されており、マンション屋上であれば建物に負担を掛けることがないため重宝されています。
FRP防水は1平方メートルあたり3kgから4kg程度であり、ほかの防水層よりも軽くなるため、建物に負担を掛けて耐震性や耐久性に影響を及ぼすようなリスクも低いのです。
FRP防水に向いている箇所
FRP防水は、丈夫で強い性質を持っているために、向き不向きがはっきりしています。
例えば、
- 人の出入りがある
- 重いものを置く
といった箇所に向いていると考えられており、ベランダやバルコニーなど、人がよく出入りし、物干し竿やエアコンの室外機を置いてもFRP防水であれば問題になりません。
ショッピングセンターなどの屋上駐車場においてFRP防水で施工されているケースは多く、車にも耐えられるほど強い性質を持っているのです。
ただ、木造住宅の屋上のように柔軟性が必要な箇所には向きません。
例えば、地震や揺れが生じた際に建物が揺れ動いてしまうと、FRP防水であればその動きに追随できず、ひび割れを起こしてしまう可能性があるからです。
マンションのように揺れに強い鉄筋コンクリート造りであれば問題なく施工できますので、屋上の防水工事に施工されるケースも多くなっています。
しかし、そのような場合にも、下地の損傷が激しいような場合には不向きであることもありますので、気になる場合には施工業者に相談してみると良いでしょう。
FRP防水以外の防水工法との耐用年数・費用相場の比較
工法 | 耐用年数 | 費用相場(1㎡あたり) |
FRP防水 | 10~15年 | 4,000円~7,000円 |
ウレタン防水 | 10~15年 | 3,000円~7,000円 |
シート防水 | 10~20年 | 2,500円~7,500円 |
アスファルト防水 | 10~20年 | 4,500円~8,000円 |
防水工事の施工方法については、FRP防水のほかにも、
- ウレタン防水
- シート防水
- アスファルト防水
といったものがあり、耐用年数・費用相場の目安は上記の通りです。
『ウレタン防水』とは、ウレタン樹脂を活用して防水層を形成する工法のことで、FRP防水とともに多くのマンションにおいて採用されています。
さまざまな形状に対応でき、さらには既存の防水層に重ね塗りできますから、手軽に防水工事が可能となっています。
『シート防水』とは、塩化ビニルシートなどを下地に張り付けて防水層を形成する工法のことで、耐久性に優れていると言われています。
短期間で工事が完了するメリットがありますが、複雑な形状の箇所には向いていません。
『アスファルト防水』とは、合成繊維にアスファルトを染み込ませ、張り重ねて防水層を形成する工法で、もっとも歴史の長い工法となります。
耐久性に優れていますが、施工に火気を使用しなければならないために、活用されるシーンが少なくなっています。
FRP防水のメリット・デメリット
冒頭からお伝えしている通り、FRP防水にはさまざまなメリットがありますが、その反面でデメリットも存在します。
そのため、FRP防水を採用するのか、他の防水工法を採用するのかについては、目的をしっかりと持って適切な工法を選ぶことが重要です。
では、FRP防水にはどのようなメリット・デメリットがあるのかご紹介していきましょう。
FRP防水のメリット
- 高い防水性
- 固くて丈夫な仕上がり
- 軽量なので建物への負担が掛からない
- 工期が短くて済む
- カラーバリエーションが豊富
FRP防水のメリットについて、いくつかのポイントにまとめてみました。
防水工法の中でも、防水性の高さに優れているのがFRP防水で、お風呂の浴槽やプールをはじめとして、船、貯水槽など、防水性が求められているさまざまな箇所で用いられています。
そのようなことからしても、防水性の高さは証明済みと言っても過言ではなく、マンションの屋上やベランダなどでの採用が増えているのです。
固くて丈夫な仕上がりになりますので、人の出入りや重い荷物をおいても問題ではなく、大型のショッピングセンターでは屋上駐車場に採用され、車が通行しても全く影響はありません。
しかも他の防水工法とは違い、継ぎ目のない防水層を形成できるので複雑な形状でも防水層の形成が可能です。
また、かなり軽量で1平方メートルあたり3kg〜4kg程度であり、建物への負担が掛からないため、屋上に採用しても安心です。
さらには、塗膜の硬化速度がとても速いため、工期が短くて済みます。
防水層の表面にトップコートの樹脂を塗り重ねる際に時間が必要になりますが、それでも1日から2日程度で防水工事自体は完了します。
また、トップコートのカラーバリエーションが豊富であるため、こだわりのカラーでオーダーできるのも、メリットであると言えるでしょう。
FRP防水のデメリット
- 費用が高め
- 柔軟性が低い
FRP防水は、他の防水工法と比較してみると、施工費用がやや高めになる印象があります。
さらに、防水層の表面に施工するトップコートは、5年に一度程度は塗り替えが必要になりますので、維持費も必要となります。
ただし、よく比較検討されるウレタン防水と比較した場合、ウレタン防水でも定期的なトップコートの塗り替えは必要となります。
耐久性はウレタン防水よりも高いのでコストパフォーマンスには優れているのですが、一時的なコスト負担が気になる場合には、不向きだと言えるかもしれません。
また、固くて丈夫な仕上がりになるが故に柔軟性に欠けており、地震などの振動が生じた場合に、その動きに追随できない可能性があります。
この点においてウレタン防水と比較してみると、防水層の形成に必要なウレタン樹脂は弾性に優れていることが知られています。
そのようなことから、FRP防水のデメリット部分が気になる場合であれば、ウレタン防水との比較について、専門業者に相談してみるといいでしょう。
FRP防水の劣化症状
FRP防水はとても固くて丈夫で、耐久性に優れている防水工法ではありますが、紫外線や風雨の影響を受けて少しずつ劣化が生じます。
劣化や損傷が生じた際には、次の大規模修繕工事を待たずにメンテナンスが必要になるケースもあります。
劣化や損傷が生じたまま放置していると、雨漏りの原因になることもありますので、次のような症状があらわれている場合には専門業者に相談するようにしましょう。
ひび割れや亀裂
防水層の表面に多く見られる劣化症状に、塗装されているトップコートのひび割れや亀裂があります。
あくまで防水層表面のトップコートの劣化でありますから、ひび割れや亀裂が生じているとしても、すぐに雨漏りするような損傷ではありません。
ただ、FRPを保護しているトップコートが劣化しているため、そのまま放置していると防水層そのものが損傷してしまうことになります。
そのため、トップコートにひび割れや亀裂を見つけた場合には、そろそろ塗り替えが必要な時期だと捉え、専門業者に相談するようにしましょう。
表面の摩耗
人の出入りが激しいような場所や重い荷物を置いているような箇所には、防水層表面のトップコートの摩耗が目立つようになってきます。
例えば、ベランダであれば居住者が日常的に出入りするでしょうし、物干し竿を置いているケースも多いのではないでしょうか。
そのようなことから摩耗を避けることはできませんが、やはりそのまま放置していると防水層そのものを劣化させる原因になってしまいます。
そろそろトップコートによるメンテナンスが必要な時期だと捉えておく必要があります
防水層の剥がれや浮き、膨れ
防水層のひび割れや亀裂、摩耗などの劣化症状がさらに進行すると、防水層表面が剥がれてくる事や浮き・膨れといった損傷が現れることがあります。
このような状態になると、防水層そのものがむき出しになっていますので、更に損傷が進んでしまう可能性があります。
そのようなことから、剥がれや浮き、膨れといった症状がみられた場合には、速やかに専門業者に相談してメンテナンスについてのアドバイスを受けるようにしてください。
FRP防水のメンテナンス方法
FRP防水は、上記でもお伝えした通り、耐久性に優れてはいるのですが、耐久性を維持するためには定期的にトップコートの塗り替えが必要になります。
トップコートとは、防水層の表面をコーティングするための塗料のことで、防水層の劣化や損傷を食い止め、維持する役割を担っています。
紫外線の影響を受けて劣化してしまいますので、5年から7年程度の頻度で塗り替えを検討しなければなりません。
マンションにおいて防水工事が行われるのは大規模修繕のひとつの工事であるケースが多く、10年から15年程度の頻度で施行されます。
そのようなことから、次回の大規模修繕工事を待つ前に、少なくとも一度程度はメンテナンスに取り組んでおかねばなりません。
まとめ
③マンションの防水工事『FRP防水』について、特徴や向いている箇所、耐用年数、費用相場、メリット・デメリットなども踏まえながら、詳しくご紹介しました。
FRP防水は、とても固くて丈夫な性質を持っており、お風呂場の浴槽や貯水槽、船体などにも活用されているほど、防水性の高さが特徴となっています。
さまざまな形状に対応でき、軽くて工期が短いため、マンションの屋上やベランダなどの防水工事で採用されるケースが増えています。
ただ、一時的な費用負担が必要になるなどデメリットもあることから、マンションの大規模修繕においては、専門業者からアドバイスを受けながら進めていくと良いでしょう。
マンションの修繕や大規模修繕工事をお考えであれば、地元に根付いて営業活動している大規模修繕専門店に相談しながら決めていくようにしましょう。
YouTube動画でも、今回の記事の内容を一部紹介させていただいております。
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