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アパートの修繕費は経費にできない?オーナーが知っておくべき修繕費と資本的支出について徹底解説

アパート経営においてこまめな修繕は、資産価値を高め、居住者の暮らしやすさや快適性の向上のためにとても大事です。

 

そのため、修繕にかかった費用をすべて経費として参入し、税負担を少しでも抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。

 

ただし、修繕にかかった費用の経理処理については十分注意が必要です。

 

それは、『修繕費』であればその年の経費として計上できるのですが、『資本的支出』の場合であれば全額を一括で経費計上することができないのです。

 

では、『修繕費』と『資本的支出』の違いは、どこにあるのでしょうか?

 

そこでここでは、アパート修繕費の経費計上を中心に、『修繕費』と『資本的支出』の違いなど、三重県津市・松阪市・名張市のアパート・マンション大規模修繕専門店が詳しくお伝えしていきます。

 

 

アパートの修繕費は経費にできない?オーナーが知っておくべき修繕費と資本的支出の違いについて

アパートの外壁塗装

 

アパートの修繕は、建物そのものの資産価値を維持向上させ、居住者の快適な暮らしを守るものですから、なくてはならないものです。

 

もし修繕を怠った場合には、アパートに劣化や損傷が生じ、居住者も長く住み続けたいと思うことはできず、また新しい入居者も増えないことでしょう。

 

そのような悪循環に陥ることがないように小まめな修繕は大切ですが、その費用は経費として計上したいところでしょう。

 

ただ先述の通り、『修繕費』は経費として一括計上することはできますが、『資本的支出』については全額を一括で経費とすることはできません。

 

どのような違いがあるのか、詳しくご紹介しましょう。

 

オーナーが知っておくべき修繕費と資本的支出の違いについて

『修繕費』は、アパートの維持管理や原状回復のために行われる修繕であり、アパート経営において期間費用として経費計上が認められている工事費用となっています。

 

あくまで維持するためや原状回復するための修理や改修であり、その工事がアパートの耐久性を高め、資産価値が向上するようなものであれば、修繕費ではなく『資本的支出』になると考えられています。

 

対して『資本的支出』は、アパートの耐久性を高め、資産価値の増大をもたらすための工事費用であり、修繕費として認められるものではありません。

 

修理や改修によって、以前よりも増して長持ちするようになるものや、価値が高まるようなものであれば資本的支出に該当します。

 

ただし、実際に修繕費と資本的支出の区分は、実務上において判断することがかなり難しいケースも珍しくありません。

 

『修繕費』の具体例

修繕費に該当する修理や改修には、次のような工事が挙げられます。

 

  • アパート外壁の汚れを目立たなくするための外壁塗装
  • 屋根の雨漏りに対する部分補修
  • 以前と同等の性能や機能のガス給湯器への交換

 

上記でもお伝えした通り、原状回復するための修理や改修による費用は修繕費として認められることになります。

 

修繕費か資本的支出なのか判断する事例として、蛍光灯をLEDに切り替える工事が挙げられることが多いです。

 

原状回復するためであれば、通常の蛍光灯に交換することが考えられますが、節電効果や使用可能期間が向上するためのLEDへの切り替えは、資本的支出なのでしょうか。

 

ただ、あくまでアパートの附属設備の部品にしか過ぎませんし、蛍光灯をLEDに切り替えたからと言って資産価値が高まるとまでは言えないでしょう。

 

そのため、このケースの場合には『修繕費』として認められることになります。

 

このようなことから、修繕費なのか資本的支出なのかについての判断は、とても困難を伴うことが多いため、下記の章で詳しく判断ポイントをご紹介していきますので、理解しておくことが大事です。

 

『資本的支出』の具体例

資本的支出に該当する修理や改修の具体例として、国税庁からこのように公表されています。

 

  • 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
  • 用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額
  • 機械の部分品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額

国税庁『修繕費とならないものの判定』より

 

ここに記載されている通り、『建物の避難階段の取付け』『用途変更のための模様替え』『品質や性能の高いものに取り替えた』というものなどが、資本的支出に該当します。

 

さらに具体的に事例を挙げてみると、

 

  • 耐久性の向上を目的としたハイグレードの塗料を活用した外壁塗装
  • 従来のキッチンからグレードの高いシステムキッチンに交換
  • 出入口をオートロックや自動ドアに変更

 

などといった機能向上に関するものは資本的支出に該当します。

 

例えば、今までは一般的なシリコン塗料を活用していたものの、無機塗料と呼ばれるハイグレードな塗料を活用するようなケースです。

 

塗料によってはシリコン塗料よりも倍以上の耐用年数が示されていますので、アパートの耐用年数を高める効果があり、塗装費用については資本的支出であると考えられます。

 

 

アパートの修繕費と資本的支出を判断するポイント

津市 アパート 外壁塗装 修繕

 

上記でもお伝えした通り、『修繕費』『資本的支出』のどちらに該当するかについては、現状を回復するのか、あるいは資産価値を高めるものかによって異なります。

 

そのため、名目が『修理』あるいは『改修』『改良』などで判断されるものではありません。

 

ただ、実質的に判断が難しいケースが多く存在することから、国税庁が示している判断するポイントについてご紹介しましょう。

 

工事費用が20万円に満たない場合は『修繕費』

一つの修理や改良などに対する金額が20万円に満たない工事については、その支出した費用を『修繕費』として経費計上することができます。

 

おおむね3年以内の期間を周期として行われる工事費用は『修繕費』

修理や改良などがおおむね3年以内の期間を周期として行われることが、今までの工事実績やさまざまな事情からも明らかである場合には『修繕費』として経費計上することができます。

 

原状維持や回復に対する工事費用は『修繕費』

現状維持や現状を回復するための工事であることが明らかである場合には、費用や工事頻度にかかわらず『修繕費』として経費計上することができます。

 

また、国税庁においては、次の工事についても修繕費として例示されています。

 

  • 建物の移えい、または解体移築
  • 機械装置の移設
  • 地盤沈下した土地を原状回復するための地盛り
  • 地盤沈下により海水などの侵害を受けたことによる床あげや機械装置の移設など
  • 土地の水はけを良くするなどのために行う砂利、砕石の敷設

 

60万円に満たない場合、もしくは取得価額のおおむね10%相当額以下は『修繕費』

一つの修理や改良などに対する金額が、修繕費か資本的支出か明らかでない場合は、

 

  • 60万円に満たない場合
  • 修理、改良などにかかる固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下

 

のどちらかに該当する場合には、修繕費として経費計上することができます。

 

修繕費か資本的支出かが明らかでない場合の特例

修繕費か資本的支出か明らかでない場合の特例として、次のいずれか少ない金額を修繕費として経費計上することができ、残りの金額を資本的支出とできます。

 

  • 支出した金額の30%相当額
  • 固定資産の前事業年度終了の時における取得価額の10%相当額

 

災害時の特例

災害により被害を受けた場合に行った修理や改良などについての修繕費と資本的支出の区分については、次のような特例があります。

 

  • 被災資産につきその原状を回復するために支出した費用は『修繕費』
  • 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止等のために支出した費用については『修繕費』
  • 被災資産について支出した費用(上記の2点を除く)の額のうち、資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものがある場合において、金額の30%相当額を『修繕費』、残額を『資本的支出』とできる

 

特に、近年においては台風や地震などの自然災害による被害が多くなっていることから、このような特例があることは把握しておくと良いでしょう。

 

 

経費なのか、資産なのか

大規模修繕で良くあるトラブル

 

アパート経営に取り組む中で、修繕や修理、改良などの機会は頻繁にあります。

 

例えば、共用部分の蛍光灯をLEDランプに取り替えるようなことは、蛍光灯が切れるたびに行っているというアパートも多いのではないでしょうか。

 

その他にも、給湯器などの設備が故障して修理をしなければならないケースや、雨漏りが生じて防水工事をしなければならないケースもあるでしょう。

 

入居者が退去した後には原状回復のために、壁や床を綺麗にしなければならず、その際には必ず修繕費が発生します。

 

冒頭から、修繕費と資本的支出の違いについて述べてきましたが、アパート経営の観点で見れば『経費なのか資産なのか』といった大きな違いがあるということなのです。

 

税金に対してどのような影響があるのか考えてみましょう。

 

修繕費の経費計上の方法

現状維持や原状回復に必要となった工事費用の場合、修繕費として計上することによって、単年度での経費処理が可能です。

 

例えば、アパート外壁の塗装工事を行い、費用が220万円になった場合には、年度内に一括で経費計上することができます。

 

そのため、仮にアパート経営での利益が500万円であった場合には、220万円を経費計上できますので、単純に280万円の利益に対して所得税の対象となります。

 

そのため高い節税効果があると言えるでしょう。

 

資本的支出の経費計上の方法

修繕や修理、改良などの工事費用が資本的支出の場合には、固定資産として計上して、資産の耐用年数にわたって減価償却費として経費処理することになります。

 

例えば、アパートの耐久性を高めることができるグレードの高い塗料を活用して外壁塗装する場合には、資本的支出に該当します。

 

この場合、塗料の耐用年数ではなく、アパートの耐用年数を使用して、減価償却していくことになります。

 

アパートで用いられる耐用年数は、

 

  • 木造:22年
  • 軽量鉄骨造:19年(厚み3ミリ以下)、27年(厚み3ミリ超4ミリ以下)
  • 重量鉄骨造:34年
  • 鉄筋コンクリート造:47年

 

と定められています。

 

仮に、木造アパートに対する外壁塗装費用が220万円である場合、22年にわたって減価償却していくことになり、年間10万円を減価償却費として計上することができます。

 

仮にアパート経営での利益が500万円である場合には、10万円の減価償却費を経費計上し、単純に490万円の利益に対して所得税の対象となります。

 

そのようなことから、一時的な節税効果としては修繕費が圧倒的に有利になるものになると言えるでしょう。

 

 

まとめ

アパートの修理や改修、補修などといった工事が経費にできるのか、その事例や経費計上の方法なども踏まえて詳しくご紹介しました。

 

アパートに必要な工事には、現状維持や現状回復させるもの、あるいはアパートの資産価値や耐久性を高めるようなものも存在します。

 

一般的には、現状維持や現状回復させる工事については『修繕費』として、単年度に経費として一括計上することができます。

 

また、アパートの資産価値や耐久性を高めるような工事については『資本的支出』として、一定期間にわたって減価償却費として経費計上できます。

 

一時的な節税効果については修繕費の方が高くなっていることもあり、そのようなことも踏まえて、修繕に取り組む必要があるのではないでしょうか。

 

ただ、修繕費と資本的支出の違いについては、工事内容によって異なることになり、判断することが困難なケースについては、国税庁が定めたルールに基づいて判断が必要になります。

 

そのため、アパート経営での利益や修繕積立金などとの兼ね合いから、修繕内容を決めることも重要であり、施工業者の協力も不可欠であると言えるでしょう。

 

外壁塗装や防水工事、また大規模な修繕工事を検討している場合であれば、地元に根付いて営業活動している大規模修繕専門店に相談しながら決めていくようにしましょう。

 

疑問や質問などございましたら、『株式会社リペイント匠 大規模修繕事業部(TEL0120-770-760 営業時間8:00~20:00)』までお気軽にお問合せしてください。

 

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